shunomemo

ラムダ式が入ったstd::functionでtargetする

最近fluidsynthをいじいじしてるんですが、ちょいとC++で扱うとなったらちょいとアレだったりしてアレで躓いたところがあったのでアレした記事です。

まずサンプルコード。

smfplayer.cppview raw
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#include <iostream>

#include <fluidsynth.h>

int handler(void* synth, fluid_midi_event_t* event)
{
fluid_synth_handle_midi_event(synth, event);
std::cout << fluid_midi_event_get_type(event) << "\r" << std::flush;
return 0;
}

int main(int argc, char** argv)
{
fluid_settings_t* settings;
fluid_player_t* player;
fluid_audio_driver_t* adriver;
fluid_synth_t* synth;
fluid_midi_event_t* event;

settings = new_fluid_settings();
fluid_settings_setstr(settings, "audio.driver", "pulseaudio");
synth = new_fluid_synth(settings);
player = new_fluid_player(synth);
adriver = new_fluid_audio_driver(settings, synth);
fluid_player_set_playback_callback(player, handler, synth);

/* process command line arguments */
for (int i = 1; i < argc; i++) {
if (fluid_is_soundfont(argv[i])) {
fluid_synth_sfload(synth, argv[1], 1);
}
if (fluid_is_midifile(argv[i])) {
fluid_player_add(player, argv[i]);
}
}

fluid_player_play(player);
fluid_player_join(player);
delete_fluid_player(player);
delete_fluid_audio_driver(adriver);
delete_fluid_synth(synth);
delete_fluid_settings(settings);
}
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$ ./smfplayet <SoundFont> <SMFFile>

やってることはなんのこたぁない、smfプレイヤーやりつつMIDIイベントの種類見てるだけです。

そのあたりは関数handler(void* synth, fluid_midi_event_t* event)で定義してあるんですがそいつをfluid_player_set_playback_callback(player, handler, synth)に渡してるわけです。

それにしてもこのhandler、短いのでmain関数の中に書いてしまいたくなりますね。

ところでC++にはラムダ式ってやつがあります。

つまりこゆこと。

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fluid_player_set_playback_callback(player,
[](void* data, fluid_midi_event_t* event)
{
fluid_synth_handle_midi_event(synth, event);
std::cout << fluid_midi_event_get_type(event) << std::endl;
return 0;
}
, event);

…今試したら普通に動いたやんけ。本日の記事完ッ!

…多分動かないと思ってたのはキャプチャつけてたからだ。うん。

…あぁ、その色々と試行錯誤してたんです。例えばそう、std::functionに入れたりとか。

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std::function<int(void*, fluid_midi_event_t*)> handler = [](void* data, fluid_midi_event_t* event)
{
fluid_synth_handle_midi_event(synth, event);
std::cout << fluid_midi_event_get_type(event) << std::endl;
return 0;
};
// コンパイルエラー
// fluid_player_set_playback_callback(player, handler, synth);

無念fluid_player_set_playback_callbackに渡してやらねばならぬのは古のCの関数ポインタ。

cpprefjpを眺めているとtargetなるメンバ関数を発見。

保持している関数へのポインタを返すとの事なので今回みたいなケースに使えばよさそうです。

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fluid_player_set_playback_callback(player, *handler.target<int(*)(void*, fluid_midi_event_t*)>(), event);

んー。

ともあれこれでコンパイルは通りました。きっとうまくいくはずです。早速実行してみましょう。

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segmentation fault (core dumped)

無慈悲にも突きつけられるコアダンプ!殺される初心者プログラマー!

ナンセンスな御託はさておき、このhandler.target<int(*)(void*, fluid_midi_event_t*)>()nullptrでした。

ちなみにラムダ式の型のデマングルを試みたところ、main::$_0なる型?が得られました。

function::targetは指定された型と元となる関数の型が一致してないとnullptrを返すのでそれでしょう。

さて、どうしよう…

ググってみると答えに行き着きました。

こちらをヒントに、代入時にconst_castする事で落ち着きました。

smfplayer-final.cppview raw
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#include <iostream>
#include <functional>

#include <fluidsynth.h>

int main(int argc, char** argv)
{
fluid_settings_t* settings;
fluid_player_t* player;
fluid_audio_driver_t* adriver;
fluid_synth_t* synth;
fluid_midi_event_t* event;

std::function handler = static_cast<int(*)(void*, fluid_midi_event_t*)>(
[](void* synth, fluid_midi_event_t* event){
fluid_synth_handle_midi_event(synth, event);
std::cout << fluid_midi_event_get_type(event) << "\n" << std::flush;
return 0;
});

settings = new_fluid_settings();
fluid_settings_setstr(settings, "audio.driver", "pulseaudio");
synth = new_fluid_synth(settings);
player = new_fluid_player(synth);
adriver = new_fluid_audio_driver(settings, synth);
fluid_player_set_playback_callback(player, *handler.target<int(*)(void*, fluid_midi_event_t*)>(), synth);

/* process command line arguments */
for (int i = 1; i < argc; i++) {
if (fluid_is_soundfont(argv[i])) {
fluid_synth_sfload(synth, argv[1], 1);
}
if (fluid_is_midifile(argv[i])) {
fluid_player_add(player, argv[i]);
}
}

fluid_player_play(player);
fluid_player_join(player);
delete_fluid_player(player);
delete_fluid_audio_driver(adriver);
delete_fluid_synth(synth);
delete_fluid_settings(settings);
}

C++でプログラムの動作を一定時間止める

・この記事は初心者 C++er Advent Calendar 2015 - Adventarの20日目の記事です。昨日はろっさむさん(@4_mio_11)で、C++をのぞく時、C++もまたこちらをのぞいているのだでした。
・勿論C++初心者が何か書いてみる方です。C++力、文章力共にアレなので生暖かい目で見守っていただければ幸いです。
・(2016/6/12追記)Markdownが消えたりしたので再現ついでに少々追加しました。

プログラムを書く上で処理をしばらく止めておきたい事があります。n秒にm回処理を行いたいとかそんなのです。組み込み用途(PWM制御など)とかゲームプログラミング(FPS周りとか)とかだと多いと思います。

睡眠は大事なのです。人も、プログラミングも。

よくある方法

プラットフォーム依存のライブラリに用意された関数を使う事が多いと思います。ググった限りはそんな感じでした。Advent Calendar前に。執筆直前に改めてググってみたら今から書くような事がトップに出てきました。なんてこったい。

POSIX APIにはsleep関数が用意されていますし、Win32 APIにも似たようなのがあるっぽいです。

こいつらじゃイカンのか?

イカン(個人の感想です)。まずWindows向けに書かれたやつがUNIX(GNU/Linuxとか*BSDとかOS Xとか含む)で使えなくなります。逆もまた然り。#defineとかでごにょごにょやるのもあまりよろしくない方法みたいです。

それに上記の方法はどっちかというとCの方法です。C++の方法があるならそちらの方がよいでしょう。

それ、標準ライブラリでできるよ!

使うのはchronoライブラリとthreadライブラリです。これらはC++11で入ったライブラリなので-std=c++11とかしてなんとかしてください。

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$ clang++ -std=c++11 -o sleep sleep.cpp

chrono

時間ライブラリ。このあたりが詳しいです。

thread

スレッドを扱うライブラリ。マルチスレッドなんかもこれ使えばいけますが、今回は処理を止めるだけに使います。

実際にやってみた

cxx11sleep.cppview raw
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#include <thread>
#include <chrono>
#include <iostream>

int main()
{
std::cerr << "(。-ω-)zzz. . . " << "\r";

// 3秒間おやすみ。
// 他にnanoseconds、microseconds、milliseconds、minutes、hoursが使える。
std::this_thread::sleep_for(std::chrono::seconds(3));

// おはようございます!
std::cerr << "(。゚ω゚) ハッ!" << std::endl;
}

こんな感じになります。とりあえずこれで問題は解決です。

ところでこの関数を見てくれ。こいつをどう思う?

すごく…長いです…

やっぱり3sとか書きたいですね。

ユーザー定義リテラルでなんとかする

ユーザー定義リテラルについてはこちらがわかりやすいかと。

なんと、C++14のchronoライブラリには時間単位のユーザ定義リテラルが定義されています。大人の事情とかでC++14が使えない人は自前実装して圧倒的成長を果たしましょう。できちゃった人は今日から初心者を名乗るのは諦めましょう。

なんとかしてみたコード

cxx14sleep.cppview raw
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#include <thread>
#include <chrono>
#include <iostream>

// ユーザ定義リテラルをうまいこと使えるようにする
using namespace std::chrono_literals;

int main()
{
std::cerr << "???「三分間待ってやる」" << std::endl;

// あれって実際には50秒とかそのへんらしいですね。
// 他にns、us、ms、min、hが使える。
std::this_thread::sleep_for(50s);

std::cerr << "???「時間だ。答えを聞こう。」" << std::endl;
std::cerr << "???&???「バルス!!!」" << std::endl;
}

おそらく関数エイリアスなる手法を用いればもうちょっとなんとかなる気はしますが、闇の気配を感じたのでここまでにしておきます。

なんの事はありませんでした。

newcxx14sleep.cppview raw
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#include <thread>
#include <chrono>
#include <iostream>

// ユーザ定義リテラルをうまいこと使えるようにする
using namespace std::chrono_literals;

// 2016/7/31追記 std::chrono::duration<long>だとx.y[sec](0.1secとか)が扱えないですね…修正。
void sleep(std::chrono::duration<double> time)
{
return std::this_thread::sleep_for(time);
}

int main()
{
std::cerr << "???「三分間待ってやる」" << std::endl;

// あれって実際には50秒とかそのへんらしいですね。
// 他にns、us、ms、min、hが使える。
sleep(50s);

std::cerr << "???「時間だ。答えを聞こう。」" << std::endl;
std::cerr << "???&???「バルス!!!」" << std::endl;
}

とまぁこんな感じでおしまいです。初めてのAdvent Calendar参戦&残業続きでいろいろグダグダしましたがなんとかなったかなーと思います。

明日はIさん(@wx257osn2)です。初心者向けの記事を期待しましょう。

第2版に寄せて

昔に書いた記事を見るのは恥ずかしい。

最後に

良い子は早く寝ような。